「読み終えたあと、自分の中の”当たり前“が音を立てて崩れていく」——そんな漫画に出会ったことはありますか?
イラン発、正確にはイラン出身の作家がフランスで描いた自伝的グラフィックノベル『ペルセポリス(Persepolis)』は、作家マルジャン・サトラピが自身の少女時代をそのまま漫画にした作品です。舞台は1979年のイラン革命前夜。裕福で自由な家庭に育った少女マルジは、革命、そして続く戦争によって、自分の国が、そして自分自身が大きく変わっていく様を目の当たりにします。
なぜこんなにも愛されているのか
『ペルセポリス』の最大の魅力は、そのギャップにあります。絵柄は白黒でシンプル、まるで絵本のように愛らしいのに、描かれているのは独裁、戦争、亡命という重すぎるほど重いテーマ。それでも読後感が暗すぎないのは、マルジの子どもらしい皮肉やユーモアが随所に散りばめられているからです。
派手なアクションではなく、ひとりの少女の目線を通して「歴史」がどれだけ個人の人生を変えてしまうかを、静かに、しかし確実に伝えてくる——そんな稀有な作品です。2007年にはアニメ映画化もされ、カンヌ国際映画祭審査員賞を受賞するなど、世界中で高く評価されました。
こんな人におすすめ
- シンプルな絵柄の奥にある、重厚なテーマを味わいたい人
- 中東の歴史や政治的背景に興味がある人
- 自伝的コミック、実体験に基づいた物語が好きな人
- 海外コミックを読んでみたいけれど、何から始めればいいか迷っている人
一コマ一コマは驚くほどシンプルなのに、ページをめくるたびにマルジの世界がどんどん重みを増していく——そのギャップこそが、この作品を何年経っても色褪せない一冊にしています。
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